LiberkaDesign Guidelines

ドキュメントのガイドライン

要約から本文・根拠まで、読み手が自分で辿れる文書をつくる。

媒体一覧 · 共通ガイドライン · チェックリスト・禁則事項

6.3 文書、報告書、提案書、PDF

  • 必須: 文書本文にはKlee Oneを使い、通常400・強調600の実フォントを読み込みます。Kleeの別書体や名前だけの指定で代用しません。見出しはCoreのsans-serifを維持し、公式wordmarkには使いません。

  • 必須: HTMLでの読み込み完了とPDFに埋め込まれた書体・日本語文字を確認します。欠けた字やフォント取得失敗を黙って別書体で補った状態で完了にしません。フォントの配布時はライセンスを保持します。

  • 原則: 標準文書はA4縦、上下左右20mm、本文11pt、行高1.7を起点とします。見出しの孤立や長い表はページ構成で解消し、本文を縮小して押し込みません。値はtokens/document.jsonに接続します。

  • 必須: PDFは検索・選択可能な文字を保持し、可能な形式ではタグ、見出し、読み順、代替テキストを設定します。

  • 必須: 外部文書では、版、発行主体、基準日、連絡先、機密区分を用途に応じて明示します。

  • 原則: 見出し階層、目次、ページ番号、図表番号、参照関係を一貫させます。

  • 原則: 一段落には一つの論点を置き、長い箇条書きで論理を代替しません。

  • 原則: 本文の一行は、日本語でおおむね35–45字を読みやすさの目安とします。

  • 原則: 見出し直後の孤立、段落一行だけの改ページ、表見出しと表本体の分離を避けます。

  • 原則: 表は列見出しを繰り返し、単位と注記を表の近くに置きます。

  • 原則: 色、背景画像、透過効果がなくても論理と重要度が伝わるようにします。

  • 禁止: 装飾カード、引用風の大きな符号、意味のない英大文字ラベルを反復しません。

文書の内容条件

  • 必須: DOC-C01 要約・本文・補足を対応させ、話者による説明なしで問い、答え、理由、適用範囲を追えるようにします。要約に本文で支えない新しい主張を追加しません。
  • 必須: DOC-C02 分析・提案の節では事実の列挙に加えて読み手にとっての意味を説明します。手順・仕様・参照一覧には順序、条件、例外、参照性を優先し、説得的な主張を強制しません。
  • 必須: DOC-C03 図表・脚注・出典・本文内参照は対応する対象へ到達できるようにし、最終PDFの番号と参照関係を確認します。重要な留保を本文から切り離しません。
  • 必須: DOC-C04 主体、条件、指示語、修飾関係を明確にし、担当や条件を取り違える曖昧さを残しません。段落・節を論点の単位とし、改ページだけを理由に論理を分割しません。
  • 必須: DOC-C05 新規制作・全面改稿では、制作前原稿で文書全体の問い・目的と回答、節・段落の役割、主張・説明と根拠・条件、節間の関係を設計します。見出し・本文・注記・図表仕様・出典を制作可能な具体性まで記述し、内容監査を経てHTMLへ制作します。論理の単位を物理ページに強制せず、手順書・仕様書・参照資料は実行順序、条件分岐、参照関係を設計します。限定修正では影響する単位と依存部分に絞れます。
  • 必須: DOC-C06 文書でも比較・関係・変化を説明する箇所は視覚表現を比較し、図表と文章の役割を制作前原稿で決めます。図表の値・配置・読み順・強調・素材と根拠を確定し、代表ページの実証を原稿へ反映してから全量HTML化します。連続した論述や参照性を優先すべき箇所は文章を採用でき、スライドと同じ密度を強制しません。アイコン・生成画像の適用を検討し、識別・場面説明・構造説明の役割を混同しません。

選択可能な手法: 複雑な文は一文一論点へ分け、責任を曖昧にする受け身、二重否定、遠い修飾を見直します。読み手に合わせて略語・専門語を初出で説明します。並列は箇条書き、手順は番号、複数軸の比較は表を検討します。完成稿の段落要約を並べる逆アウトラインで重複・欠落・順序を点検できます。

結びでは本文を踏まえた意味を示し、未処理の重大な論点を初めて持ち出したり、主張の言い換えだけを反復したりしません。接続詞は実際の論理関係に合わせ、既知の内容から新情報へつなぎます。

一文が60字を超える場合や同階層の箇条書きが4項目以上の場合は、読みにくさや構造を再検討する目安です。文字数上限や項目数上限ではありません。仕様の完全な一覧、正確さに必要な条件、意味のある受け身を形式のために削除しません。

文書固有の禁止事項

  • 禁止: フォント未読込み、欠字、文字の重なり、領域外への切れを残したPDFを完成品として渡しません。
  • 禁止: 見出し・表の列見出し・図の説明だけを、対応する本文から切り離した状態で放置しません。
  • 禁止: 検索・選択できる本文を、一枚の画像やcanvas描画へ置き換えません。
  • 禁止: ページ数、目次、図表番号、参照先が最終出力と異なるまま配布しません。

文書の文字寸法

媒体 本文の基準 見出しと階層
文書・PDF 本文10.5–12 pt、行高1.5–1.75を基準とし、用途と判型で調整します。 見出しレベルを飛ばさず、本文との差をサイズと余白で示します。

文書の図と原稿の批評

  • 原則: 文書の比較・包含・階層・表などもHTML/CSSで構成し、精密描画だけにSVGを用います。視覚表現はライブラリの用途・必要入力・不向きな条件と照合して選びます。
  • 必須: 制作前原稿と批評は第12章に従い、文書の精読・参照・印刷目的へ適用します。背景は白地を含めて検討し、長文の可読性・インク量・固定表紙を優先します。スライド向けの演出を全ページへ強制しません。

6.4 グラフ、表、データ可視化

視覚表現は、量の可視化に加え、比較・関係・構造・業務・体験・場面を読者が理解できる形へ変換する仕事です。6.4.1〜6.4.10に、選択手順、72の形式、素材、媒体別の仕上げ、監査の手引きを整理します。以下の規則は全体に適用し、形式一覧は条件に応じて選ぶ候補として扱います。

  • 必須: 軸、単位、期間、母数、集計方法、欠損、出典を必要に応じて示します。
  • 必須: インタラクティブなグラフには、同じ情報へ到達できる要約または表形式の代替を用意します。
  • 原則: 図表は問いに答えるために選び、見栄えのために種類を増やしません。
  • 原則: タイトルは何を比較しているかを表し、読み手に結論を強制する誇張表現を避けます。
  • 原則: 色だけで系列を区別せず、直接ラベル、線種、記号、配置を併用します。
  • 原則: 円グラフは少数の構成比に限り、比較が目的なら棒グラフを優先します。
  • 原則: 切断軸、面積、遠近法で差を誇張しません。
  • 原則: 表の数値は桁、小数点、単位を揃え、並び順に意味を持たせます。
  • 禁止: 比較に不要な3D、影、グラデーション、過剰な補助線を使いません。

比較を誤らせない表現

  • 原則: 棒の長さで量を示す場合はゼロを基点とします。微小な差を示す場合は差分や点の位置など別表現を検討します。折れ線にゼロ基点を一律強制せず、尺度を明示し、変化を誇張しません。
  • 原則: 二重軸の調整で関係があるように見せず、別々の図や尺度を揃えた比較を検討します。時間・年齢などの自然な順序と、値による順位を使い分けます。
  • 原則: 実績と予測は線種や注記でも識別し、解釈に必要な目標・基準・不確実性を示します。

図表固有の禁止事項

  • 禁止: 数値、単位、期間、母数、軸の尺度を、元データと照合せず実測値として示しません。
  • 禁止: 凡例や色だけに識別を依存させ、白黒・色覚差で比較対象を失う図表を配布しません。
  • 禁止: 軸の省略、切断、面積・体積の誇張で、値の差を実際と異なる印象にしません。

図表の文字寸法

媒体 本文の基準 見出しと階層
図表 軸、凡例、注記を最終表示サイズで読める大きさにします。 タイトル、要点、単位、期間、出典の順序を固定します。

6.4.1 視覚表現の選択と原稿化

この節以降は第6.4節の規則を具体化する設計手引きです。列挙した形式をすべて使う義務はありません。適用条件を満たす候補を比較し、読者に必要な理解を最も少ない推論で届けるものを選びます。型の多さ、画像の枚数、文字面積率は品質の代わりになりません。

言いたいことを視覚の仕事へ変える

読者の問い 視覚の仕事 第一候補 別案を選ぶ条件
どれが大きいか 共通基準で位置・長さを比べる 横棒・ドット 正確な数値の参照なら表
何が変わったか 同一対象の前後を対応させる ダンベル・スロープ 途中経過が重要なら折れ線
いつ、どれくらい変わったか 時間間隔と値を対応させる 折れ線・期間棒 予測なら不確実性を併記
何が全体を構成するか 全体と部分を見せる 積み上げ・分解図 数量がなければ包含図
どれくらいばらつくか 個体と分布を示す 点群・ヒストグラム 群の要約比較なら箱ひげ
何と何が関係するか 二変数を位置へ写す 散布図 定性的関係は関係図、因果は別途根拠
誰が、どこまで担当するか 主体と対象を交差させる 責任・権限マトリクス 引渡しが重要ならスイムレーン
どう進み、どこで分岐するか 順序・条件・状態を区別する フロー・状態遷移 実時間・並列作業なら工程表
どこに集中しているか 地理と量を結ぶ 地図 地理が結論に不要なら順位図
どういう場面なのか 人・物・環境・行動を見せる 写真・場面イラスト 操作の証明なら実画面と注釈
何を見ればよいか 識別と探索を助ける アイコン・ラベル 関係や量の説明は図表へ
なぜそう言えるか 証拠と主張の関係を示す 根拠対応表・論証図 繊細な留保は文章で保持

選択の六つの確認

  1. 読者と利用場面:投影を見る経営層、精読する専門家、操作中の利用者では、必要な深さと読む時間が異なる。
  2. 情報の性質:数量、分類、順序、時間、地理、包含、関係、場面を区別する。数値がないものに数量の見かけを与えない。
  3. 読み取る作業:順位、差、傾向、探索、照合、理解、判断のどれを助けるかを決める。
  4. 比較対象と基準:同じ期間・母数・単位かを先に確認する。デザインで比較不能を隠さない。
  5. 誤読と欠落:各候補が何を隠し、どの関係を過剰に示すかを比較する。
  6. 出力条件:投影・紙・スマートフォン・PDFで再現できるか。Hoverやアニメーションが消えても意味が残るか。

制作前原稿の記入単位

項目 制作前に決める内容 曖昧な指定の例
問いとメッセージ 読者が図から答えられる一文、成立条件 「わかりやすくする」
データ契約 粒度、単位、期間、母数、欠損、計算、出典、確度 「効果を数字で」
視覚写像 x/y、長さ、面積、色、線種、形が何を意味するか 「いい感じのグラフ」
配置 行列の対象、系列順、基準線、始点・終点、群分け 「重要なものを左に」だけ
読み順 最初に見る対象、比較の移動、注記の接続位置 「全部目立たせる」
実文 タイトル、ラベル、単位、脚注、出典、代替説明 ダミー文のまま確定
素材 ファイル、版、用途、出典・生成指示、再掲理由 画像を後から適当に追加
検査 読者の問い、期待回答、避けたい誤読、照合先 「美しいか」だけ

この記録と第12章の原稿・監査記録を接続します。原稿を長くすることが目的ではなく、制作時に意味・データ・構造を再発明させないことが目的です。

参考:Datawrapperの選択ガイド。問いから表現を選ぶ考え方を参照し、上の業務図・原稿仕様はLiberka向けに整理しています。

本文を書く前の視覚設計

  1. 全体の論理と各ページの問いを短く決める。長文の完成原稿を先に作らない。
  2. 問いを比較・構成・順序・範囲・操作・場面・根拠などの読取り作業にする。同時に主要な視覚候補を検索する。
  3. 候補の型と、要件から組み立てる案を比べる。主図が何を説明し、アイコン・実画面・画像がどこを助けるかを決める。
  4. 図が引き受ける説明を列挙し、その文を本文へ重ねて置かない。残す本文は図だけでは分からない条件・留保を中心にし、話者ノートや文書の詳細節と分ける。
  5. 主図の順序・配置・実ラベル・データ・素材を原稿として確定する。図を隠した場合に何が理解できなくなるか、図だけから意図した答えが読めるかを監査する。
  6. 全体を一覧にして同じ形式の連続や装飾偏重を検討し、代表ページを試作する。試作の修正は原稿へ戻す。

文書では一段落ごとに無理に図を付けず、節の説明責務を単位に判断します。学術的な論証、正確な契約条件、引用の精読などは文章を主とする理由になります。スライドでは文章を既定にせず、まず視覚へ移せる部分を検討します。アイコン・生成画像も用途を記録し、必要な場面は個別に準備します。採用しない素材に生成を要求しません。

6.4.2 大小・順位・差分・目標の比較

以下は状況別の候補です。同じデータでも「順位」と「改善幅」では適切な並びや図が変わります。

ID・形式 答える問い/必要入力 構成と強調 誤読・不向き/代替
V01 横棒 どれが大きいか。カテゴリと同単位の値 縦にカテゴリ、横に量。値順または意味順。比較対象だけ強調 長い名称に向く。順位だけなら値の差も失わないよう注記
V02 縦棒 期間・順序ごとの量。区間値 横に時間・順序、縦に値。間隔の意味を揃える 名称が長い場合は横棒。連続的な変化なら折れ線
V03 ドット 僅かな差を含む値の位置。カテゴリと値 共通軸に点、ラベルを直接対応。基点を表示 棒のように長さを量と解釈させない。範囲の省略は注記
V04 ロリポップ 多数カテゴリの大小 基点から細線と点。値順で整列 線が棒と同じ量を示すならゼロ基点。小画面で点が重なるなら横棒
V05 グループ棒 各カテゴリ内の系列差 比較したい組を近接し、組間を広げる 系列・群が多いと探索負担。小分割図やドットへ
V06 ダンベル 同一対象の二値の差 同じ行に二点、接続線、始終ラベル。差順か意味順 接続は対応関係であり因果ではない。途中経過は示さない
V07 スロープ 二時点での変化方向 左右の共通尺度、対象を結ぶ線、端点ラベル 交差が多いと読めない。ダンベル・小分割へ
V08 発散棒 基準を超えた/下回った差 中央に意味のある基準、左右に符号付き差 ゼロ・目標・平均の違いを明示。正負を善悪と同一視しない
V09 バレット 実績は目標に届いたか 実績棒、目標の線、必要なら評価域 目標と上限を混同しない。評価域の根拠がなければ省く
V10 ウォーターフォール 初期値から最終値への増減内訳 始終は総量、中間は差分、接続基準を揃える 非加算指標を足さない。重複要因なら分解表へ
V11 パレート 上位項目でどれだけ占めるか 降順棒と累積比率。軸と系列を明確に分ける 累積線の第二軸を操作しない。棒+累積値表でもよい
V12 ベンチマーク点図 対象は基準群のどこか 同じ尺度に対象・基準・範囲を配置 比較群の選定が結論を左右する。都合のよい群だけ選ばない

並び順はメッセージの一部

順序が本質の時間・年齢・評価尺度は順序を保持します。純粋な大小比較なら値順が候補です。前後ページを照合する場合は同じ対象順を保つ方が比較しやすいことがあります。値順の変更で同じ対象の場所が移る場合は、その負担を評価します。

「最重要列を左端」は一律の規則ではありません。比較対象を識別する名称列を左に置き、その次に判断の主軸を置く方が、名称と評価の往復が短くなる場合があります。

架空データによる設計例

案件A・B・Cの確認時間が旧方式12・8・10分、新方式8・7・6分という説明用データを考えます。順位だけを見る横棒より、同一案件の変化を問う場合は行ごとのダンベルが適します。横軸0〜12分、縦軸A・B・C、旧方式は白抜き点、新方式は塗り点、端点に値を記します。差は−4・−1・−4分。実験条件が不明なので「導入で短縮した」とは結論しません。

参考:ONSの並び順、軸と補助線。形式ごとの原稿仕様はLiberkaの設計手引きです。

自作の構成例

案件A・B・Cの前後値を共通軸で対応させた図。詳細の値と解釈は上の例に記載。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

6.4.3 推移・期間・工程・繰り返し

ID・形式 答える問い/必要入力 構成と強調 誤読・不向き/代替
V13 折れ線 いつ、どのように変わるか。時点と値 時間を横軸、間隔は実時間に対応。直接ラベル 不等間隔を等間隔にしない。欠測をゼロにしない
V14 ステップ線 状態・料金・残高がいつ切り替わるか 変更時点まで水平、変更時点で段差 連続変化の測定値を階段にして事実を変えない
V15 小分割時系列 複数対象の推移を比較 各対象に小図、時点と尺度を揃える 個別尺度なら値の直接比較不能と明記
V16 指数化時系列 基準時点からの相対変化 基準時点と基準値100等を明示 絶対規模は失われる。原値または別図を添える
V17 区間・帯付き推移 推定・予測の幅を含めて読む 中心値と帯、実績/予測の境界、区間の意味 帯を最大最小・信頼区間・予測区間で混同しない
V18 スパークライン 多数項目の傾向を一覧 行名と代表値に隣接し、小さな同形式の線 軸なしの精密比較には不向き。詳細図への入口にする
V19 ガント 作業の期間・重なり 横は日付、縦は作業・担当、開始終了を長さに写す 単なる順番図を期間図にしない。依存と期間は別記号
V20 マイルストーン いつ何を確認・決定するか 時間軸上の点と日付、完了/予定の区別 間隔が実時間に非比例なら概略と示す
V21 カレンダーヒートマップ 曜日・季節の繰り返し 日付を実カレンダーへ配置、欠損を別表現 正確な大小比較は難しい。折れ線・曜日別集計へ
V22 コホート表 同じ開始群がどう継続するか 行は開始群、列は経過期間、セルは同一定義の率 暦月と経過月を混同しない。未到来は欠損と区別

時間の条件を先に定義する

「月次」が月末時点か月内合計か、累積か当月分か、暦年か年度かを原稿で決めます。累積線の上昇だけで成長率の上昇を主張しません。月の日数差や稼働日数差が影響する場合は、総量と一日当たりを使い分けます。

移動平均は窓幅と端点処理を記し、元系列から何を平滑化したか説明します。都合のよい開始日、季節の違う期間、制度変更前後の定義差を確認します。予測値には前提・作成時点を添え、未来の事実として描きません。

工程図と状態図の区別

工程図は「作業をどう進めるか」、状態図は「対象がいま何で、何が起きると変わるか」です。申請→審査→承認は活動列か状態列かを先に決めます。待機・差戻し・中止が読者の判断に関係するなら正常経路だけで完結させません。

参考:ONSの小分割図、不確実性の表示。工程表の運用仕様はLiberkaの整理です。

自作の構成例

同じ0〜10件の尺度で群Aと群Bの4か月の推移を分けた図。Aは2、4、6、8件、Bは8、7、6、5件。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

6.4.4 分布・関連・不確実性

ID・形式 答える問い/必要入力 構成と強調 誤読・不向き/代替
V23 ヒストグラム どの範囲に多いか。個票または区間度数 数値区間を横、度数・密度を縦、階級幅を定義 幅の選び方で形が変わる。異なる幅なら面積と密度に注意
V24 ドットストリップ 個体値と重なりを見る 同じ量軸上に個体点。重なり回避のずらし方を注記 個体数が多ければ透明度・集約・分布へ
V25 箱ひげ 群ごとの中央値と広がり 中央値、四分位、ひげの定義、標本数 ひげは常に最小最大ではない。多峰性は隠れる
V26 バイオリン 群ごとの分布形状 共通量軸、密度推定、標本数、必要なら個体点 小標本で滑らかな形を実態と誤認。帯域依存を確認
V27 累積分布 閾値以下は何割か 横は値、縦は累積比率0〜1または0〜100% 初学者には読み方を注釈。横と縦を取り違えない
V28 散布図 二変数がどう関連するか 一点の単位を定義し、x/yの量と単位を示す 相関は因果を証明しない。外れ値・群別・重なりを確認
V29 バブル散布図 関連に第三の量を重ねる 位置で二変数、面積で非負の第三変数 半径比例では面積が二乗誇張。精密比較は表・小分割
V30 ヒートマップ 二軸の組合せの強弱 行列の分類と色尺度、欠損を明示 色差から正確な値は読みにくい。値ラベルか表を併用
V31 推定値と区間 差はどの程度確かか 点と上下/左右の区間、区間種類・水準を明示 区間の重なりだけで有意差を断定しない
V32 感度分析図 前提が変わると結論はどう変わるか 入力の変動範囲、基準ケース、出力を対応 一変数ずつの変動では相互作用を扱えない
V33 シナリオ比較 複数前提で結果がどう違うか シナリオごとの前提と結果を対で表示 楽観・基準・悲観を根拠なしに確率区間と呼ばない

集計で消えるものを確認する

平均だけで群の差を説明する前に、中央値、ばらつき、標本数、外れ値を確認します。群を混ぜた傾向と群内の傾向は一致しないことがあります。割合なら分子・分母、重み付き平均なら重み、回答者ベースなら非回答の扱いを記録します。

標準偏差は観測値のばらつき、標準誤差は推定量の標本変動を扱います。信頼区間と予測区間も別物です。区間の意味が未確認なら、見た目を整えるために帯や誤差棒を追加しません。頻度論の95%信頼区間を「確定したこの区間に真値が95%の確率で入る」と無条件に説明しないなど、採用した統計的定義に沿って記述します。

探索用と説明用

探索段階は散布行列や多数の分布で仮説を探せます。説明段階は読者の問いに関係する図を選びます。ただし結論に都合の悪いデータや条件を隠す意味ではありません。詳細・反証・方法へ辿れる構造を残します。

参考:NISTの信頼区間、NISTの箱ひげ図、NISTの可視化手法一覧、Data to Vizの注意点。

6.4.5 構成比・階層・地理・流量

ID・形式 答える問い/必要入力 構成と強調 誤読・不向き/代替
V34 積み上げ棒 総量と内訳はどう違うか 内訳の色・順序を揃え、総量も示す 中間の区画は基点が揃わない。内訳間の精密比較は別図
V35 100%積み上げ 構成比の違いは何か 全体を100%、同じ項目順、必要なら総数併記 母数の差は見えない。少標本の割合を過信しない
V36 円・ドーナツ 一つの全体の大まかな構成 相互排他的で全体を尽くす部分、直接ラベル 近い比率・多数項目・時系列比較は棒へ
V37 ワッフル 全体のうち何割か 等面積セルと一セルの量、端数処理を定義 読者にセルを数えさせない。数値も添える
V38 単位アイコン図 人数等を身近な単位で理解 同じ形・面積で一個の量を定義 アイコンの大きさを変えて数量を示さない
V39 ツリーマップ 多数の部分と階層の構成 面積は非負量、親子の包含、直接ラベル 小区画の比較・読字が弱い。階層表や横棒へ
V40 サンバースト 階層ごとの構成経路 内から外の階層と値の定義 外周面積の増加を量と誤認。ツリー・階層表を優先検討
V41 サンキー どこからどこへ量が移るか 線幅は量、同じ単位、節点の入出量 非保存量や因果関係を流量に見せない。損失・新規流入は明示
V42 アルビアル 分類の所属が段階間でどう変わるか 各軸に分類、帯で同じ集団の対応 母集団・追跡不能の扱いを確認。単なる前後総数では作れない
V43 階級区分図 地域ごとの率・密度はどう違うか 地域単位、集計定義、階級区切り、欠損 人口規模の大きさを率と混同しない。面積で印象が偏る
V44 比例記号地図 地点・地域の総量はどれだけか 地理位置+面積比例の記号、尺度見本 重なりと投影の影響。順位が問いなら横棒
V45 注釈付き位置図 どこにあり、どう移動するか 必要範囲の地理、方向、距離または概略表示 路線模式図の間隔を実距離と誤認させない

全体の定義

複数回答を足して100%にした円グラフ、重複集合を排他的な内訳として描く図、赤字・負値を面積へ写す図は、情報構造を先に見直します。「その他」に含める対象と割合を説明し、重要な少数項目をまとめて消さないよう確認します。

割合を比較するときは、全体が10人と1万人でも同じ100%になることを意識します。「率が高い」と「人数が多い」は別の問いです。地図でも地域人口当たりと総数を選び分け、行政区域の変更や地域単位の違いを確認します。

参考:ONSの地図、Datawrapperの図種選択。特殊な形式の採用は読者が解釈できる場合に限るという編集判断を加えています。

自作の構成例

初期8件に追加3件と減少2件を反映し最終9件になる説明用の図。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

6.4.6 関係・構造・業務・体験の図解

数量がなくても図解はできます。ただし位置・長さ・面積が量を示すように見える場合は「概念図」「模式図」と用途を示します。箱と矢印を並べる前に、関係が順序・依存・因果・包含・接続のどれかを定義します。

ID・形式 答える問い/入力 配置・接続の意味 不適切な使い方/代替
V46 ツリー 何が何に属するか 親子の基準を統一し、階層の深さを合わせる 一つの子が複数親ならDAG・対応表を検討
V47 包含図 どこまでが範囲か 囲いは所属・境界、重なりは共有範囲 装飾の囲いを包含と混同しない
V48 集合図 共通・固有の要素は何か Vennは可能な組合せ、Eulerは実際の関係を選ぶ 面積比例でない図から量を比較させない
V49 ネットワーク 誰と誰がどうつながるか 節点・辺・向き・重みを定義 自動配置の距離を類似度と呼ばない。密なら隣接行列
V50 レイヤー図 役割がどう積み重なるか 層は責務・抽象度、接続面は依存境界 上下を優劣や時間と混同。実配線は別図
V51 分解・断面図 全体の中に何があるか 全体と部位、対応番号、必要な断面 現物と異なる寸法・接続を実構造と断定しない
V52 プロセスフロー どの順に何を行うか 動詞で活動、条件で分岐、始終を明示 全矢印に同じ曖昧な意味を持たせない
V53 スイムレーン 誰から誰へ渡るか レーンは主体、接続は引渡し、返却も表示 主体と工程を同じ方向の列へ混在させない
V54 状態遷移 何が起きると状態が変わるか 名詞で状態、矢印にイベント・条件 操作と状態を混在させない。失敗・取消しも検討
V55 シーケンス 主体間のやり取りの順番 主体を横、進行を縦、要求と応答を区別 縦距離を待ち時間と解釈するなら尺度が必要
V56 決定木 条件からどの選択へ進むか 各分岐に判定条件、葉に結果 曖昧・重複・抜けのある条件なら決定表へ
V57 論証・根拠図 結論を何が支えるか 主張、証拠、推論、反証を区別 接続線だけで論理成立や因果証明としない
V58 因果仮説図 どの要因が何へ作用する想定か 因果方向と根拠、交絡、仮説/確認済みを表示 相関図をそのまま因果図へ変えない
V59 ジャーニー 読者・利用者は何を経験するか 主体・場面を固定し、段階、行動、困難、機会を配置 想像した感情を実調査と呼ばない
V60 サービスブループリント 体験を裏側で誰が支えるか 顧客行動、表側、裏側、支援の層を対応 作業一覧だけで利用者との接続を失わない
V61 ストーリーボード 場面がどう移り、何が変わるか 同じ人物・対象で時系列の場面を描く 無関係なストック写真の列で物語としない
V62 Before/After対照 何を維持し何を変えるか 同じ観点・視点・倍率・範囲で左右を対応 Beforeだけ不利な条件を選ばない

矢印・囲い・余白の文法

矢印の凡例を増やしすぎるより、異なる関係を別図に分けます。実線と破線を使うなら意味を一つずつ決めます。距離・中央配置・大きさも重要度や近さを暗示するため、根拠のない優劣を作らないよう確認します。交差線を減らしても、実際にある関係を削除して単純化しません。

架空の「閲覧範囲」を図解する例

「本人は自分の記録、管理者は共有された記録を見られる」を人物アイコン二つで説明すると範囲が分かりません。本人/管理者を行、自分の未共有/他者の未共有/共有済みを列にした権限表が候補です。「共有した瞬間に見える範囲が変わる」が論点なら、状態遷移と小さな権限表を組み合わせます。どちらの場合も実製品の権限仕様を確認してから確定します。

参考:NN/gのジャーニー、サービスブループリント。その他はLiberka向けの図解分類・設計観点です。UML・BPMN準拠と名乗る場合は、別途その標準の記法を確認します。

自作の構成例

申請者、審査担当、承認者の3レーンで、提出から内容確認、承認への引渡しを示した架空の概略図。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

6.4.7 表・マトリクスと判断の設計

表はグラフの代替品ではありません。正確な値の参照、異種の条件の照合、実務上の採否を支える役割があります。文章をセルに詰めただけの表は、比較軸が揃っているか見直します。

ID・形式 用途と入力 設計 注意・代替
V63 数値参照表 値を正確に調べる 単位は見出しへ、桁を揃え、数値は右寄せ 傾向の発見が主目的ならグラフ併記
V64 選択肢比較表 条件ごとの違いを比べる 行は評価軸、列は候補、または転置。読者の探索方向で選ぶ 各候補で異なる軸を説明しない
V65 権限マトリクス 誰が何をできるか 主体×対象・操作、許可/条件付き/不可/未確認を区別 空欄を不可や未確認として黙って兼用しない
V66 責任分担表 誰が実行・承認・支援するか 作業×役割、記号の意味を定義 RACI等の名称だけで責務を確定しない
V67 決定表 条件の組合せと結果 一行に一条件組合せ、優先順位・例外も記す 全組合せが多すぎれば条件分解
V68 根拠対応表 主張の裏付けを辿る 主張、根拠、条件、確度、参照を対応 URLの存在だけで主張の正しさを保証しない
V69 リスク表 問題と対応を追う 事象、影響、根拠、責任者、期限、対処 低中高の積を精密な確率として扱わない
V70 二軸配置 トレードオフを探索する 両軸の意味・方向・判定基準を定義 恣意的な中心線で四象限の意味を捏造しない
V71 スコアカード 複数観点を要約する 指標の定義・尺度・重み・欠測を明示 必須条件の違反を総合点で相殺しない
V72 レーダー 同一尺度で特徴形状を見る 軸・方向・範囲を揃え、順序を固定 面積は軸順で変わる。採否・精密比較は表やドットへ

表の設計順

  1. 読者が最初に探すものを行見出しまたは列見出しにする。
  2. 同じ粒度の評価軸に揃え、同じ条件で比較できるか確認する。
  3. 判断の主要軸を名称の近くへ置き、詳細・注釈・出典の場所を決める。
  4. 数量、二値、段階評価、自由記述を区別し、それぞれの整列と表記を選ぶ。
  5. 比較対象が増えた場合の分割・固定見出し・繰り返し見出しを設計する。

セルの意味を固定する

ゼロは測定された0、欠測は値が得られない状態、対象外は定義上適用されない状態です。空欄やダッシュ一つで兼用しません。丸・三角・バツの意味も「優劣」なのか「可否」なのかを明示します。主観的評価には評価者・根拠・評価時点を接続します。

罫線と読みやすさ

罫線は行列の対応を助ける分だけ使い、全セルの強い囲いを避けます。行のまとまりは余白や控えめな背景でも示せます。HTML表は見出しセルとデータセルの対応を持たせます。PDFでは見出しの繰返し、行の分断、注記の離脱を確認します。表の罫線は、禁止されている装飾的なborder-leftとは役割を区別します。

参考:W3Cの表のアクセシビリティ。業務上の評価軸・採否の扱いはLiberkaの編集方針です。

自作の構成例

本人・管理者と記録の公開状態を交差させた架空の権限表。本人は自分の未共有を閲覧可、他者の未共有は不可、共有済みは条件付き。管理者は未共有を閲覧不可、共有済みを閲覧可。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

6.4.8 アイコン・写真・イラスト・生成画像・実画面

視覚素材の役割を分ける

素材 担当する仕事 選定・制作で決めること 代用させないもの
指定アイコン 対象・行動・区分の識別 意味、ラベル、採用名、出典、線の統一 因果、比較、量、権限範囲の説明
ピクトグラム 場面や対象の素早い認識 文化・文脈による解釈、必要な文字 未検証の普遍的理解
写真 実在の場面・質感・規模感 撮影元、使用権、写る情報、視点、切抜き 数値効果の証明、別の顧客の実績
場面イラスト 行動と環境を抽出して説明 主体、動作、対象、視線、因果を示す範囲 実測・実写の証拠
生成画像 未撮影の概念・場面の表現 ページ固有の役割、構図、光、質感、禁止要素 実在UI、実顧客、正確な図表・文字
実画面 実際の機能や操作位置を示す 製品版、状態、個人情報、注釈、切抜き範囲 未実装の機能の証拠
注釈付きSVG 関係・部位・量を正確に制御 座標、結線、実文、尺度、代替説明 出典のないデータや推論

生成画像の指示は「きれいな画像」で終えない

場面の主体、動作、対象、場所、視点、画角、主役の位置、文字領域、光と質感、ブランドとの整合、避けたい描写を指定します。別ページに別の場面が必要なら、ページごとの指示で複数回生成・選定します。同じ画像の切抜き・色替えで異なる場面を埋める運用は、6.2・6.3の素材規則に照らして監査します。

採用前に、意味、余計な文字・ロゴ、不自然な物体・接続、人物の表現、視線と画角、必要解像度、誤認のおそれを確認します。生成画像は背景を埋める義務ではありません。表・グラフで説明すべき箇所を画像へ置き換えず、場面理解を助ける場所で積極的に採用します。

アイコンの使い方

同じ意味に同じアイコンを使い、異なる意味に同じ記号を流用しないよう確認します。指定ライブラリとブランド規則は第4章・媒体別規範を参照します。アイコンを全廃するのでも、見出しすべてに付けるのでもなく、識別が速くなる箇所で採用します。図の節点をアイコン化しても、節点間の関係を線・配置・ラベルで設計する仕事は残ります。

切り抜きと注釈

実画面は読ませる範囲まで拡大し、必要なら全体の小図と詳細を対応番号で接続します。装飾用デバイス枠で実画面を小さくしません。注釈は対象の近くに置き、同時に読む説明と画像を離さないよう確認します。写真のトリミングで状況や証拠の意味が変わる場合は、原画像との比較へ戻ります。

参考:NN/gのアイコン理解、W3Cの複雑な画像。生成回数・素材の原稿への接続はLiberka固有の制作方針です。

再利用する視覚構成

以下は実在の実績や顧客発言を作るための型ではなく、確認済み素材を組版するための型です。

ID・形式 答える問い/入力 配置・接続の意味 不適切な使い方/代替
V73 端末モックアップ 実画面が利用環境でどう見えるか。実機の外観素材または生成モックアップと画面asset HTMLの画面領域へ画像を直接合成し、縦横比を保つ。全体像と拡大箇所を分ける 画面の引伸ばしや文字が読めない縮小。架空画面を実製品と呼ばない
V74 月桂冠・実績エンブレム 何を根拠に評価・提携を示すか。短い主張と出典 金色の葉は実績のまとまりを示す装飾。評価主体・対象・時点は文字で示す 根拠のないNo.1、大学や教授の推薦の捏造。実績がなければ使わない
V75 インラインハイライト 文のどこが判断の核か。前置き・強調句・後置き 文字の背後の短い帯で要点を示す。色がなくても文意を保つ 文全体の塗り、複数色による無意味な強調。本文を減らす代わりにはしない
V76 コメント吹き出し 誰のどんな声が課題を具体化するか。発言・話者・出典・実例か想定か 吹き出しの尾を話者に対応させる。短い声と回答・意味を近づける 架空の声を顧客の証言にしない。長文なら引用本文へ
V77 概念ピラミッド 基盤と上位の役割はどう積み重なるか。上から順序付きの層 頂点・中段・基盤の関係を台形の積層で示す。面積は量ではないと明記 面積を数量や市場規模と誤認させない。量なら積上げ棒等へ
V78 番号付きカード 提案の特徴・段階は何か。01・02・03と短い要点、任意の指定アイコン 番号が順序か参照番号かを明示。カード間の比較軸を揃える 文章をカードへ移すだけで図解済みとしない。関係が主題なら関係図へ

端末外観は質感のある実機モックアップを選びます。配布物には利用・再配布条件を確認した素材、または生成素材を用います。同梱のV73は生成したノートPC・スマートフォン・タブレットの透過画像であり、実機写真・メーカー公式素材・特定機種の正確な再現ではありません。画面は独立したassetをHTMLで背面に配置し、カメラやベゼルを前面に保ちます。生成素材である旨を表示し、端末外側の透過を維持します。特定機種の寸法や対応を証明する用途には、確認済みの実機素材を別途使います。画面を枠へ直接はめ込む方式を標準候補とし、クロマキーは既存の写真・動画素材に必要な場合に使います。画面assetの出典・版・状態・掲載可能性は別途確認します。月桂冠・コメントの出典欄が埋まっていても、内容の真偽は自動保証されません。

操作・対応・指標を大きく見せる

ID・形式 答える問い/入力 配置・接続の意味 不適切な使い方/代替
V79 注釈付き画面 実画面のどこを見れば何が分かるか。画面と座標・番号・説明 画像上の番号と説明を一致させ、拡大対象を絞る 実画面を捏造しない。番号だけで小さい文字の読取りを強いない
V80 対応ペア 課題と施策、入力と出力はどう対応するか。左右の項目と関係名 同じ行の左右が一組。矢印を増やさず照合できる 多対多を一対一に偽装しない。複雑なら対応表へ
V81 基準付き指標 何と比べて現在値がどうか。値・基準値・単位・期間・出典 現在値を大きく、基準と期間を同じ視野に置く 根拠のない効果、単位や基準を省いた大数字。大小の良否は別途説明

6.4.9 視覚の文法と媒体別の仕上げ

位置・長さ・面積・色・形

位置と長さを共通基準へ揃えると、差を直接比較できます。面積・角度・色の濃さは精密な数値読取りに負担があるため、概観の目的や数値ラベルと組み合わせます。一つの変数に複数の視覚属性を使う場合も、矛盾した意味を与えないよう確認します。

色は強調だけでなく、カテゴリ、大小、基準からの差、状態も表せます。「色は強調時だけ」という一律の規則にはしません。意味のない色分けを減らし、色が担う役割を限定します。

色の役割 設計 注意
カテゴリ 区別できる色と直接ラベル 明暗で不要な順位を作らない
順序・量 段階的な明暗、連続量に合う尺度 数値の順序と見た目の順序を合わせる
基準からの差 意味のある中点と両方向 中点は自動的に平均ではない
強調 主役と文脈を分ける 非強調部分を読めないほど薄くしない
状態 共通tokenと文字・形も併用 色だけで可否を判断させない

ブランド色を全系列や全背景へ広げる必要はありません。情報を読む領域の可読性を守り、データの意味とブランドの役割を分けます。白地も背景演出も媒体とページの役割に合わせて選びます。同じ緑系の背景と文字で層を埋めず、実寸で階層と区別を確認します。

視線と余白

まずタイトルから主図へ、主図から必要な注記へ辿れる配置を設計します。凡例を往復するより直接ラベルが適する場面があります。ただし密集して重なる場合は、配置・図の分割・表示対象を見直します。余白は関係のまとまりを示すために使い、空間を埋めるための枠・アイコン・画像を追加しません。

媒体ごとの変換

媒体・利用 構成 文字・図・注記 出力時の確認
投影スライド 一つの主要な読取りを大きく 主図と短いメッセージ。重要な条件は残す 最後列相当・投影条件・段階表示なし
配布スライド 単独で理解できる文脈を補う 説明を追加するなら面積を再設計 発表者の説明なしで問いへ答えられるか
精読文書 要約→論述→根拠へ接続 図表番号、本文参照、出典、必要な詳細表 A4実寸、改ページ、見出し繰返し、検索
Web 探索・比較・操作に合わせる 要約+詳細、キーボード、代替表、フィルタ状態 代表幅、拡大、色覚・支援技術、操作なしの理解

媒体tokenの文字寸法を適用し、スライドの大きな主図をそのまま文書へ縮小しません。文書の詳細表を投影用へ押し込むこともしません。HTMLからPDFに変換できても、表の見出し関係・読み順・代替説明がそのまま維持されるとは限らないため、最終PDFで確認します。

単調さと一貫性を混同しない

同じ主体、同じ指標、同じ状態の表現は揃えます。一方、大小・権限・体験という異なる問いをすべて「三つのカード」で表す必要はありません。ページを並べて見たときの強弱は、情報の役割と根拠の違いから生みます。見た目を変えるためだけの特殊グラフは選びません。

参考:Datawrapperの色尺度、フェンリルのブランディング支援。後者はブランドと体験の一貫性の参考であり、図表の統計的正確性の根拠やフェンリル社内の制作規則として扱いません。

自作の構成例

架空の業務変更を同じ部署で比較。Aはメール別送から記録集約、Bは口頭確認から記録確認、Cは担当不明から担当表示へ。

この図は形式の理解を助ける自作の架空例です。実製品の仕様や導入効果の証拠ではありません。完成資料では対象媒体のtokenと原稿の実データを適用します。

背景と内容面の合成

模様背景ではタイトル・本文・表・フッターを透過とする構成を基本候補にします。領域全体の白い塗りで背景を隠す処理を自動挿入せず、模様の濃度や位置を調整して可読性を確保します。写真背景などで文字の判読性が足りない場合は、文字の領域だけに読み取り面を置く案と、写真を別領域へ分ける案を比較します。

背景候補は無地、淡色、ドット、グリッド、斜線、周縁のリング、上下の淡い帯、画像を揃えます。背景は図表の数量・分類の符号と競合させず、印刷・狭幅でも選定結果を確認します。透過とはページ自体の透明化ではなく、ページ上の不要な白い面をなくすことです。

文字の削減は、本文と図の重複を取り除き、対象の識別を指定アイコン、境界を包含、役割を表、階層をピラミッド、実際の操作を画面へ移すことで行います。必要な根拠・単位・条件は残し、アイコン数や図の個数だけで品質を判定しません。

6.4.10 視覚監査と検査可能性

本節は第12章の受け入れ記録を視覚表現へ適用する索引です。新しい合格点を作らず、既存の必須・禁止、対象要件、採用形式の条件へ接続します。自動化候補は実装済みの機能を意味しません。

確認観点 確認すること 自動化の範囲 人が意味を確認する範囲
問いと図 図だけで必要な比較・関係が読めるか 原稿の項目存在は検査可能 適切な表現か、結論を支えるか
データ一致 値、母数、期間、単位、計算 構造化データなら再計算可能 入力の正しさ、比較条件の公平性
尺度 基点、範囲、面積、時間間隔 仕様と描画値が取得できれば照合可能 省略・切断が誤解を招くか
関係 接続、包含、順序、因果 孤立点・未定義ラベル等を検出可能 その関係が事実として成立するか
色と識別 コントラスト、色以外の手掛かり 一部の色・属性を計測可能 色覚差・印刷で比較できるか
文字・配置 はみ出し、重なり、縮小 DOM寸法や画像比較で候補検出 実寸で読めるか、視線が迷わないか
素材 出典、版、再掲、用途 hashによる完全一致は検出可能 トリミング再利用、誤認、場面の適合
禁則 左飾り線、小さなkicker等 CSS等から候補検出可能 軸・表罫線・注記との区別
代替情報 表、要約、読順 存在やリンクは検査可能 同じ重要情報へ到達できるか
原稿一致 図の構造とラベルと素材 IDやhashは照合可能 図にした後も条件と意味が保たれたか

監査の問い

  1. タイトルを隠しても、何を比べた図か分かるか。
  2. 主図を隠すと、理解に必要な情報が失われるか。失われないなら装飾か重複の可能性はないか。
  3. 色をなくしても対象・関係・重要な差を読めるか。
  4. 大小・距離・矢印・包含から、根拠にない意味を読み取らせていないか。
  5. 例外・欠測・未確認・不確実性が結論を変えるのに消えていないか。
  6. 読者に必要な比較を頭の中の計算やページ往復へ丸投げしていないか。
  7. アイコンで説明できない関係をアイコンに任せていないか。
  8. 本文を削った結果、単位・条件・定義・出典まで失っていないか。
  9. ページを俯瞰したとき、内容の違いが図の構造に表れているか。
  10. 実際の配布PDF・表示幅で、ラベルと主図と注記を読めるか。

典型的な差戻し

問題 戻る先 修正例
三つのアイコンと三段落だけ 問いと関係の選定 比較なら共通軸の表、担当ならレーンへ
全ページが箱と矢印 関係の定義 包含・比較・順序・数量を別形式へ
多色だが意味がない 視覚写像 色の役割を固定し、比較対象を直接ラベル化
テキストを詰めた表 原稿の構造 評価軸を揃え、必要な論述を本文へ戻す
複雑な図が小さい ページの分担 全体と詳細を分け、対応位置を維持
生成画像がどこでも同じ 素材計画 場面ごとの目的と構図で再生成・選定
図は美しいが根拠がない 調査・データ確認 仮説・例示を表示し、確定主張を保留

「レビューを30回」は30件のチェックボックスではありません。明示された巡数の対象版・指摘・修正・再確認を残し、同じコマンドの再実行を内容監査の一巡として数えません。回数を満たしても未確認の必須条件は未確認です。

9.1 アクセシビリティ

WCAG 2.2 AAを最低目標とし、企画、構成、制作、実装、書出しの各段階で確認します。

  • 必須: スライドと文書も、読み順、代替テキスト、コントラスト、言語設定を確認します。
  • 禁止: 色、位置、形、音、動きの一つだけへ意味を依存させません。

9.3 モーション

  • 原則: 動きは、状態変化、空間関係、操作結果を理解させるために使います。
  • 原則: スライドでは全要素へ同じ登場アニメーションを付けず、順序理解に必要な段階表示だけに使います。
  • 禁止: 装飾だけの常時移動、カーソル追従、視差スクロール、浮遊物を使いません。

チェックリスト・禁則事項

正本の必須・禁止をそのまま確認項目として掲載しています。媒体固有の条件と共通条件の両方を確認してください。自動検査と内容・視覚の判断は別です。未確認の項目は合格ではありません。

媒体固有 — 禁則事項

媒体固有 — 必須条件

  • 文書本文にはKlee Oneを使い、通常400・強調600の実フォントを読み込みます。Kleeの別書体や名前だけの指定で代用しません。見出しはCoreのsans-serifを維持し、公式wordmarkには使いません。 出典: 6.3 文書、報告書、提案書、PDF
  • HTMLでの読み込み完了とPDFに埋め込まれた書体・日本語文字を確認します。欠けた字やフォント取得失敗を黙って別書体で補った状態で完了にしません。フォントの配布時はライセンスを保持します。 出典: 6.3 文書、報告書、提案書、PDF
  • PDFは検索・選択可能な文字を保持し、可能な形式ではタグ、見出し、読み順、代替テキストを設定します。 出典: 6.3 文書、報告書、提案書、PDF
  • 外部文書では、版、発行主体、基準日、連絡先、機密区分を用途に応じて明示します。 出典: 6.3 文書、報告書、提案書、PDF
  • DOC-C01 要約・本文・補足を対応させ、話者による説明なしで問い、答え、理由、適用範囲を追えるようにします。要約に本文で支えない新しい主張を追加しません。 出典: 文書の内容条件
  • DOC-C02 分析・提案の節では事実の列挙に加えて読み手にとっての意味を説明します。手順・仕様・参照一覧には順序、条件、例外、参照性を優先し、説得的な主張を強制しません。 出典: 文書の内容条件
  • DOC-C03 図表・脚注・出典・本文内参照は対応する対象へ到達できるようにし、最終PDFの番号と参照関係を確認します。重要な留保を本文から切り離しません。 出典: 文書の内容条件
  • DOC-C04 主体、条件、指示語、修飾関係を明確にし、担当や条件を取り違える曖昧さを残しません。段落・節を論点の単位とし、改ページだけを理由に論理を分割しません。 出典: 文書の内容条件
  • DOC-C05 新規制作・全面改稿では、制作前原稿で文書全体の問い・目的と回答、節・段落の役割、主張・説明と根拠・条件、節間の関係を設計します。見出し・本文・注記・図表仕様・出典を制作可能な具体性まで記述し、内容監査を経てHTMLへ制作します。論理の単位を物理ページに強制せず、手順書・仕様書・参照資料は実行順序、条件分岐、参照関係を設計します。限定修正では影響する単位と依存部分に絞れます。 出典: 文書の内容条件
  • DOC-C06 文書でも比較・関係・変化を説明する箇所は視覚表現を比較し、図表と文章の役割を制作前原稿で決めます。図表の値・配置・読み順・強調・素材と根拠を確定し、代表ページの実証を原稿へ反映してから全量HTML化します。連続した論述や参照性を優先すべき箇所は文章を採用でき、スライドと同じ密度を強制しません。アイコン・生成画像の適用を検討し、識別・場面説明・構造説明の役割を混同しません。 出典: 文書の内容条件
  • 制作前原稿と批評は第12章に従い、文書の精読・参照・印刷目的へ適用します。背景は白地を含めて検討し、長文の可読性・インク量・固定表紙を優先します。スライド向けの演出を全ページへ強制しません。 出典: 文書の図と原稿の批評
  • 軸、単位、期間、母数、集計方法、欠損、出典を必要に応じて示します。 出典: 6.4 グラフ、表、データ可視化
  • インタラクティブなグラフには、同じ情報へ到達できる要約または表形式の代替を用意します。 出典: 6.4 グラフ、表、データ可視化
  • スライドと文書も、読み順、代替テキスト、コントラスト、言語設定を確認します。 出典: 9.1 アクセシビリティ

全媒体共通 — 禁則事項

全媒体共通 — 必須条件